概要

作詞:田中新一
作曲:不詳

歌詞

嗚呼桃源の夢の世に
泣いて機を待つ呑牛児
蒼淵の底 昇天の
嵐を待つか蛟竜は
空舞ひ昇る大八洲
竜門低し その旦

夕ベ暮鐘に送られて
ゆくえ白河 友もなく
春光まだき道の奥へ
手折りわずらう不香の花
朝暾 天に沖しては
珠と輝く蝦夷の山

楊柳の曲いま絶えて
左遷 悲しき我が配所
夕べ筑紫の波枕
夕陽遠し日向灘
この辺境に我れ立てば
思ひや馳せん過去の窓

四面に起る悲茄の曲
孤城に似たる土佐の里
槌嶺遅き明けの空
沖辺どよめく邪許の声
人生 孤島に生れては
不遇を君よ天に泣け

矛を枕の秋深く
泡沫すごき日本海
孤独さびしき我が任地
越路の空を彷徨ひて
重巒遠く隔つとも
怠りなせそ蘇武が筆

薫り床しき山吹は
友が忌中の手向け花
緑葉恨み長くとも
その誠心の紅を
誰かは知らん三軍の
叱咤の声とは夢にだも

されば歌へよ わが友よ
夢ぞ床とき五年を
あと百日の名残りとし
袂わかたん丘の上に
征衣を払ふ五月雨を
渭城の朝の雨と見て

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